王様は、お姫さまとどうよう、侯爵のりっぱなひとがらに、すっかりほれこんでおしまいになりました。そのうえ、侯爵が、たいへんお金持なのを知って、なおなお、このましくおもいました。そこで、五六ぱい、さかずきをあげてから、王様は、
「どうでしょう、侯爵、おいやでなかったら、姫と結婚してくださいませんか。あなたは、わたしどもにとっては、申しぶんのない方です。」と、いいました。
侯爵はそのとき、うやうやしく敬礼したのち、王様の申し出された名誉を、よろこんで、お受けすることにしました。そうしてその日、さっそくお姫さまと結婚しました。
さて、猫吉は、大貴族にとり立てられました。それからはもう、やたらにねずみを取ったりしないで、気らくに、その日その日をおくりました、と、さ。